桧原里紗

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なら、傍観者は傍観者なりに、漢字そのままに、 傍らで観ている者、になればいいのだろうか。 違うんだ、きっと、絶対に。 俺は、この地位の権力を行使していいような人間じゃない。 言いかえると、こんな権力は、俺には行使なんて出来ない。 もっと言うと、 俺は、こんなものは、要らない。 いくら″上″の″階層″の奴と仲が良かったって、 俺は本意で付き合っているわけじゃない。 それはきっと、クラスの誰もが知っている。 きっと、奴らも知っている。 だから俺は余計に蔑まれる。 自分からも、周りからも。 俺はいったい、何者なんだろう。 こんな中途半端な場所に突っ立っていたって、 何も変わらないということは、痛いほど知っているじゃないか。 この学級の現状を知りもしない担任が悪いと嘆いたって、 学校が悪いと嘆いたって、 それがいかに酷く愚かで、破滅的な行為かということは、 俺たちはよく知っている。 上の階層のやつらも、 それ以外のやつらも、 中途半端な場所に突っ立っている俺も。
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