桧原里紗

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そういえば、さっき女子たちにずぶ濡れにさせられていた女子は、何といったか。 昨日歩いていた廊下。 制服をゆるめたりして、だらっと着こなすのがかっこいいとか勘違いしている、腐った思考をしたやつらの中で、 ひとつだけ、パリッと皺ひとつないセーラーが目立っていた。 靴下は学校指定の黒ソックスで、ワンポイントなんてものさえもない。 足元を見れば生足がうじゃうじゃ、というのが当たり前のような景色の中、 きちんと黒い布にくるまれた健康的なふくらはぎは際立っていた。 それでもスカートの丈は校則ギリギリまで短くしてあったけど、 あのスカートはやっぱり際立っていた。 視線を上げれば、一歩一歩踏み出すたびにさらさらと揺れる髪。 あのさらさらの黒髪は、あのふくらはぎより、スカートの丈よりもよく目立っていた。 そう、確か、 彼女の名前は、 桧原、里砂。 ひのはらりさ、と、 言ったはず、だ。
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