プロローグ

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船の避難から遅れた私はもう既に身体の半分が水に浸っていた。 なにやら原因不明の事故があったらしく、大体の客が避難したが、私はこの通り、逃げ遅れたのだ。 「(死ぬか)」 涙なんか出てこなかった。 逃げ遅れたのは私自身の責任だ。べつに死んでも構わなかったし。 ああ、でも旅行楽しみたかった。 服の中にまで水が入ってきてとても気持ちが悪い。ああ、気持ち悪い。 脱ぎたいけど、さすがに遺体で見つかった時に全裸は嫌だ。まぁ、海に沈むから多分遺体なんぞ見つからんとは思うけども。 そうこうしているうちに水が私を包み込んだ。 うわ苦しい。 がはっと水中でもがくが無意味な行為。 私は呆気なく意識を手放した。 →
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