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碧の意識が目の前、暗い洞窟の奥、その先。木製の小さな扉が見える。その外が俄かに騒がしくなり始めていた。二頭の龍が暴れでもしているのかと思ったが、違う。どこかこの緊迫した空気にはそぐわない、俗に言うならくだらない言い争いが聞こえてくる。
「地図にはそう書いてあるんだよ!! こっちで良いって!!」
「へぇ!! だけどな、もう三回も道間違えてるぜ!! なんだって、地図通りに進んでいる筈なのに、そんな事になるんだろうなぁ?」
「うむ……確かにそっちではないぞ。こちらだ。この扉の先にいる……て、二人共ちゃんと聞いておるのか?」
思わず、このバカと怒鳴りたくなる程に能天気な馬鹿が近づいてくる。そして扉が開いた。言い争いながら入ってきた二人は、ふと足を止めた。
「姉ちゃん……」
姉妹の視線が交差し、繋がる。
一日ぶりだというのに、その姿に、彼女がいるという現実に、意識が溺れてしまいそうな程の安堵を感じる。だが、続いて彼女の胸を刺したのはそれと同じ位の不安の大波。
舞香がすっと息を吸いこんだ。全てを受け入れるように、そして、笑った。
「見つけたぜ、姉ちゃん」
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