ハロウィーナ・ハロロンカ

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夏が終わりを告げたのを聴きのがし、いつの間にか明け方は肌触りのいいシーツを握りしめて、身体をまるくするほど冷え込んでいた。 秋の始まりを賑やかに迎えるこの時期のイベント、年に一度のお菓子の神様をもてなすお祭り。 "ハロウィーナ・ハロロンカ" とある村の、一大行事だ。 髪の毛を寝癖でぴょこんと跳ねさせた少女が、朝日を受けて暖まりつつあるキッチンでゴソゴソと作業をしていた。 今日という日に期待を寄せたブラウンの瞳を輝かせ、モカクリームのような滑らかでやわらかな髪の毛をふわりと揺らすこの少女の名は、ティナ。 居心地のいいベッドから跳ね出すようにキッチンへ向かった少女は、自称"最高傑作"を眺め、満足そうに微笑んだ。
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