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下ろせ!と言う晴天に、のらりくらりと言葉を交わしながら10分程担ぎ歩かれただろうか。
立ち止まった副会長の脇から、手が伸びてきて晴天の腕を掴んだ。
「…俺が抱く!」
口を一文字に結んで、副会長の眉がピクリと動いた。
「お前、ソイツを放せよ、俺が抱くんだから!」
「イヤ!ぁ…嫌々いやいやいや…ちょ、ちょっと…」
「彼を此処まで抱いて来たのは、この私です。今更この子を放すわけありませんね。」
「イヤ!こっちもいやいやいや…ちょ、ちょっと…周りをちゃんと見てみようか?」
授業前の廊下は、まばらにしてもそれなりの人通りはある。
そこで『抱く』『抱いて来た』の大声発言に…
血気盛んな男の子達は、目を見開いて固まっている。
更に…『抱く抱かせない』発言の内のひとりが副会長だと知ると…。
「あ~皆さん顔色を変えて、此方をガン見してるんだけど~。恥ずかしいから、マジで下ろしてください…てか、下ろせ!」
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