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着いてくる!と言って晴天から放れようとしない父親を
『なら、学校辞める…行かない…ひきこもる…』
と言って、やっとの事で引き剥がしたのが5分前。
父親は半べそをかきながら
「じゃあ、これ…絶対、絶対、これ着けてね。天ちゃんお母さん似の美人さんだから…襲われたりしたら、お父さん…」
車の窓から押し付けるように握らされたのは、変装用セットの入った紙袋。
晴天はギロリと睨んで、ボム!と車のドアを蹴った。
「襲われるような所に入れってか…あぁん?」
「や、やだなぁ天ちゃん…『あぁん!』は、もっと色っぽく…」
にっこり微笑んで、サイドミラーを拳で割れば…父親は顔を赤く染めたり青く染めたりしながら、震える手でキーを回して車を発進させた。
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