Act.01

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2台の車速は遂に250キロに達しようとしていたその時、ランエボがNSXに並ぶため隣のレーンに移動する。 そして、これで勝負は決まったと言わんばかりにNSXに視線を送る。 「なっ…」 ランエボのドライバーは言葉を失った。 ランエボの真左に並ぶはずのNSXの姿が見つからないのだから。 スリップストリームを使い横並びにできる自信があったのだが、そのNSXは今までよりも威圧的なサウンドを奏でて軽く30m先にテールの薄暗い光を発してなおも加速していく。 彩音のNSXは排気量を3.5リッターにボアアップしてタービンを組んでいる。 ランエボのドライバーが抜きにかかる時までわざとパワーバンドを外して超高速クルージングをしていた。 そして自分の背後から相手がレーンを移動するタイミングを見計らいフルパワーで加速を始めたのだ。 「あれが漆黒の薔薇乙女か…」 ランエボのドライバーがアクセルを抜き、虚しくウエストゲートの音が周囲に響き渡った。 彩音もランエボがペースを落としたのを確認してアクセルを抜いた。 「もう少し楽しめたらよかったな…」 そんな彩音のつぶやきはV6サウンドにかき消された。
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