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彩音は小谷SAで車を止めて休憩をすることにした。
NSXの車内で携帯を弄りながら時間を潰していると、勝負をしたランエボが隣に車を止めてこちらに歩み寄ってきた。
コンコン…
ランエボのドライバーが窓をノックしたので、彩音はウインドーを開けた。
「今日のところは完敗だが、いつかリベンジさせてもらうぞ」
「いいわ、いつでも一緒に走りましょう」
そう言い、彩音は少し微笑んで頷いた。
「自己紹介してなかったけど、俺の名前は如月悠斗だ。それじゃ」
そう言い残し悠斗はランエボに戻り軽く吹かして走り去っていった。
「如月悠斗…今度はどれだけ速くなってるか楽しみね」
彩音もNSXのエンジンに火を入れて走り出した。
今回の一戦で漆黒の薔薇乙女の連勝記録は25を記録し、走り屋の間で夜が明ける前に広まっていったのだった。
朝日が昇り始めた頃、自宅のガレージにNSXを停めて彩音は疲れた体を癒すために眠りについた。
まだこの時、誰一人として今夜起こる悲劇を知る由もなかった。
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