酒の席

「こんなところで、何をしているんだ？」
　男は笑っている子供達に歩み寄って聞いた。子供達は答えることなく笑い続けている。幽霊だから、こちらの声は聞こえないのだろうか。
「何で笑っている」
　男がもう一度、聞いてみた。返事は同じ笑い声だ。
　初めは面白半分で見ていた男であったが、次第に苛立ちを覚えてきた。ただ、笑っているだけであるが、何だか自分がバカにされているような気がしてならないのだ。男は酔っていたせいもあって、次第に機嫌が悪くなってきた。
「笑うのをやめろ・・・」
「クスクス」
「笑うな・・・」
「アハハハハハ・・・・」
「笑うな！」
　男は声を張り上げた。拳を振り翳して、自分を小馬鹿にしている子供の幽霊を大胆にも殴ろうとした。