疑心暗鬼

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智也の店からの帰りのタクシーの中、 俺はまだ迷っていた。 倉田にするか…工藤にするか。 …そう言えば、槙田の件もあったな…。 考えなきゃならない事が多すぎて俺の頭ん中、 グチャグチャになって来た。 …こりゃもうちょっと飲まないと寝れそうにねーな。 そう思って家の手前でタクシーを止め、酒を買い足ししようとコンビニへ入った。 冷蔵庫の前で、ビールをカゴにバサバサと入れていた時だった。 「飲みすぎるとまた記憶失くしますよ」 後ろから聞こえた声に振り返ると、まるで壁のように立ちはだかる… いや… ニコニコと満面の笑みを浮かべた倉田の姿。 「大きなお世話だよ」 そう言いながらも、会社とは違う笑顔の倉田に何故か俺の胸がドキドキと弾ける。
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