疑心暗鬼

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「そーいうお前も酒買いに来たんだろ?」 俺の質問にニカっと笑った倉田。 「バレましたかー。 モツ煮作ってみたらすごく上手に出来たんでビール飲みたくなっちゃって」 嬉しそうにビールをガサガサとカゴに入れる倉田の後ろ姿につい笑みがこぼれる。 そのモツ煮をつまみながら幸せそうな顔して飲む倉田の姿と、あの美味かったみそ汁を思い出して、また倉田の家に行きたくなった俺はポツリと呟いた。 「モツ煮にビールかー……美味そーだな」 その言葉に倉田は振り向いて、思いっきり迷惑そうな顔をする。 「嫌ですよ。あんな美味しいモツ煮、誰にもあげませんから」 …断る理由はそこかよ。 まぁいいけど…。
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