20.

13/16
前へ
/476ページ
次へ
この辺りはオフィス街。 タワー型の大きなマンションがいくつか 点在してるけど、子供を育てる環境じゃない。 遊び友達がいないなんて、幼稚園児には きっと寂しいことだろう。 「時々で良いならさ、お姉さんが遊んであげるよ」 「ほんと?」 真一君が目を見開く。 「うん、ただね、お仕事があるから、いつ来られるか わからないんだよね」 「それでもいいよ、僕夕方はいつもここで遊んでるから 来られる時に来て!」 「それでいいの?いつ来るかわかんないんだよ?」 「いいよ、来なくても遊んでるんだから」 たった四歳だというのに、なんてしっかりした 子供なんだろう。 小さい頃から一人遊びに慣れてるのかな? 自宅マンションの前とはいえ、誰も付き添わないで 一人で遊ばせるなんて、危険じゃないの? 「わかった、でも約束して。 絶対にわたしを待ったりしないでね。 お家の人と約束した時間になったら、帰ること。 期待させる事、言った後で悪いんだけど」 「わかってる、慣れてるから。 運が良かったら、遊んでよ」 なんて健気な子。 こんな小さな子に、こんな事を言わせるなんて どんな親なんだろう。
/476ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17704人が本棚に入れています
本棚に追加