17704人が本棚に入れています
本棚に追加
この辺りはオフィス街。
タワー型の大きなマンションがいくつか
点在してるけど、子供を育てる環境じゃない。
遊び友達がいないなんて、幼稚園児には
きっと寂しいことだろう。
「時々で良いならさ、お姉さんが遊んであげるよ」
「ほんと?」
真一君が目を見開く。
「うん、ただね、お仕事があるから、いつ来られるか
わからないんだよね」
「それでもいいよ、僕夕方はいつもここで遊んでるから
来られる時に来て!」
「それでいいの?いつ来るかわかんないんだよ?」
「いいよ、来なくても遊んでるんだから」
たった四歳だというのに、なんてしっかりした
子供なんだろう。
小さい頃から一人遊びに慣れてるのかな?
自宅マンションの前とはいえ、誰も付き添わないで
一人で遊ばせるなんて、危険じゃないの?
「わかった、でも約束して。
絶対にわたしを待ったりしないでね。
お家の人と約束した時間になったら、帰ること。
期待させる事、言った後で悪いんだけど」
「わかってる、慣れてるから。
運が良かったら、遊んでよ」
なんて健気な子。
こんな小さな子に、こんな事を言わせるなんて
どんな親なんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!