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今日も秀一君は遅い。 テレビを見ながら一人で夕食。 真一君と同じくらいの歳の、子役俳優が 長いセリフを言って涙を流してる。 子供だからって侮れない、立派な俳優だ。 小さな子供でも、立派に仕事してる子や 周りに気遣って生きている子もいれば 大人なのに、自分の都合しか考えない人もいる。 「あんないい子の親ってどんな人なんだろうな」 わたしもいつか母親になる日が来る? 秀一君とわたしの子供… いつか抱ける日が来たら良いな 「ママとか言われるんだ、むふふふ」 「気持ち悪い笑い方だな」 「秀一君!」 いつの間に帰ってたのか、背後から見下ろしている。 「え、いつの間に?もしかしてずっと見てた?」 「『あんないい子』のあたりから?」 そう言われて頬に熱が集まる。 妄想部分、全部見てたんですね。 「何?子供がどうかしたのか。 もしかして、できたとか?」 「え……」 平然とのたまう無表情な顔を見返す。 「……子供…できたんですか?」 あまりにもあっさりと、言われて 驚きのあまり、頓珍漢な質問をしてしまった。
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