21.

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「多恵ちゃーん、行くよー!」 「オッケー、いいよ」 「それー!」 「ストラーイク!上手じゃない」 「でしょ。パパに習ったんだよ」 先日約束した通り、仕事が早く終わって 用のない日は、こんなふうに真一君と遊んでる。 まだ、二回ほどだけど。 「へえ、休みの日はパパが遊んでくれるんだね」 ボールを投げ返しながら、何気なく言った。 「今はもう遊ばないよ」 「え?」 「もう遊べないの。さよならしたから」 「真一君?」 「ママとパパは、もう一緒にいられないんだって。 だから、パパとはもう会えないの」 なんてこと… 何回か会って、仲良くなったけど、真一君の 親御さんには会ったこともないし、詳しく 聞いた事も無かった。 まさか離婚してたなんて だから、真一君はいつもこんな所で一人で遊んでたんだ。 おばあちゃんと留守番で、ママは仕事だって言ってたのは そういう事だった。 「そう、でもママが遊んでくれるでしょ」 「ママはお外が嫌いなんだ。 でも、時々ママの知り合いのお兄さんが来て 遊んでくれる」 「そうなんだ。ねえ、もうだいぶ暗くなってきたし そろそろ帰ろうか。もしかしたら雨が降るかも」 「えー、もうちょっと遊ぼうよ」
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