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「多恵ちゃーん、行くよー!」
「オッケー、いいよ」
「それー!」
「ストラーイク!上手じゃない」
「でしょ。パパに習ったんだよ」
先日約束した通り、仕事が早く終わって
用のない日は、こんなふうに真一君と遊んでる。
まだ、二回ほどだけど。
「へえ、休みの日はパパが遊んでくれるんだね」
ボールを投げ返しながら、何気なく言った。
「今はもう遊ばないよ」
「え?」
「もう遊べないの。さよならしたから」
「真一君?」
「ママとパパは、もう一緒にいられないんだって。
だから、パパとはもう会えないの」
なんてこと…
何回か会って、仲良くなったけど、真一君の
親御さんには会ったこともないし、詳しく
聞いた事も無かった。
まさか離婚してたなんて
だから、真一君はいつもこんな所で一人で遊んでたんだ。
おばあちゃんと留守番で、ママは仕事だって言ってたのは
そういう事だった。
「そう、でもママが遊んでくれるでしょ」
「ママはお外が嫌いなんだ。
でも、時々ママの知り合いのお兄さんが来て
遊んでくれる」
「そうなんだ。ねえ、もうだいぶ暗くなってきたし
そろそろ帰ろうか。もしかしたら雨が降るかも」
「えー、もうちょっと遊ぼうよ」
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