21.

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「だめ、風邪ひいたら遊べなくなるよ。 今日は帰ろう」 「は~い。つまんないの、じゃあまた遊んでよ」 「もちろん」 ボールを袋に仕舞って、水道で手を洗う。 真一君の手をタオルで拭いていると すぐ傍に、黒い車が止まった。 そこから出てきたのは、わたしの天敵とも呼べる人で。 「あら、こんな所で会うなんて」 「……」 あの電話以来、清水さんとは会社でも会っていない。 秀一君が彼女について、何かを調べていて 結果が出るまで、接触を避けるよう言われていた。 「ママ、迎えに来てくれたの?」 「ママ?」 わたしの陰から飛び出した真一君が、大きな声で 叫んで彼女に走り寄った。 清水さんが真一君のママ? 驚きにただ二人を見つめる事しかできない。 「ママ、僕のお友達のお姉さんだよ! 多恵ちゃんって言うの」 「そう、あなたが言ってたお姉さんが彼女なのね。 まさかこんな偶然があるなんて」 「ママ、多恵ちゃん知ってるの?」 「ええ、ママと同じ会社で働いてるのよ」 彼女は真一君の頭を撫でて、そう言うと 後ろの車を指した。
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