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「だめ、風邪ひいたら遊べなくなるよ。
今日は帰ろう」
「は~い。つまんないの、じゃあまた遊んでよ」
「もちろん」
ボールを袋に仕舞って、水道で手を洗う。
真一君の手をタオルで拭いていると
すぐ傍に、黒い車が止まった。
そこから出てきたのは、わたしの天敵とも呼べる人で。
「あら、こんな所で会うなんて」
「……」
あの電話以来、清水さんとは会社でも会っていない。
秀一君が彼女について、何かを調べていて
結果が出るまで、接触を避けるよう言われていた。
「ママ、迎えに来てくれたの?」
「ママ?」
わたしの陰から飛び出した真一君が、大きな声で
叫んで彼女に走り寄った。
清水さんが真一君のママ?
驚きにただ二人を見つめる事しかできない。
「ママ、僕のお友達のお姉さんだよ!
多恵ちゃんって言うの」
「そう、あなたが言ってたお姉さんが彼女なのね。
まさかこんな偶然があるなんて」
「ママ、多恵ちゃん知ってるの?」
「ええ、ママと同じ会社で働いてるのよ」
彼女は真一君の頭を撫でて、そう言うと
後ろの車を指した。
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