守ってあげたくて

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結局槙田と店を出る時も、俺とは一切目を合せなかった倉田。 そしてあの恐怖の笑顔で見送る柏木のおかげで、俺は最悪な気分のまま休みを過ごした。 月曜日の朝は毎度のごとく少し早めに出勤して、先週末のイベントでの売上をチェックする。 最後と思って気合を入れた甲斐あって自分でも納得の数字にホッとした。 「藤森部長、おはようございます。 本日からよろしくお願い致します」 やけに丁寧な挨拶で、倉田と共にデザイン部へ入って来た柏木に、俺も一応立ち上がって頭を下げる。 「よろしく。 とりあえず朝一で顔合わせするから、ミーティングルームで二人とも待機しててくれ」 「はい」 恐怖の笑みを見せながら頷いた柏木の隣で、倉田は顔を背けたまま。 …ま…仕方ない。 やがて工藤と椎名も出勤して来て、倉田たちと同じようにミーティングルームに行かせる。 あとは…問題の太田か…。
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