守ってあげたくて

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「隼人、いらっしゃい」 ドアを開けた途端、いつもの智也の笑顔が俺を迎え入れてくれるMoon Drops。 けれどカウンターではなく、ボックス席へと腰かけた俺に、ニマニマと笑う智也。 本気で女を口説く時は、俺はいつもカウンターには座らなかったから、きっと今日は槙田を口説くつもりだと勘違いしているんだろう。 「わぁ…ステキなお店ですね」 「いらっしゃいませ、ありがとうございます。 どうぞごゆっくり」 目をキラキラさせる槙田にいつもの営業スマイルの智也。 「俺はソルティードッグ。 槙田は…酒は強いのか?」 「あまり強くはないです」 「そっか、じゃカシスオレンジあたりにしとくか?」 「はい!」 「かしこまりました」 智也が槙田にニコリと頷いて、そのまま視線を俺に移動させてニヤっと笑う。 …だから…違うんだって…。
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