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「どういう意味?」
「自分という概念。自分が何者か、ではなく自分という意味とはなにか。君なら考えたことがあるんじゃないか?」
なるほど、そういうことか
自分とは何か
この身体は本当に自分か
いや、この思考さえも自分なのか
そんなこと分かるはずもない
ただ、
「僕は神様じゃないからね。でも言えるとしたら」
それは簡単な事で
全ての疑問に対する答えかもしれない
「 そんなこと考えなくても、僕らは存在し続けるんだよ」
かつて、人は考えただろう
そして何かしらの真理をそこに見たに違いない
自分とは自らを分かると書く
だったらきっとそういうことなんだろう
考えるまでもなく、当たり前のように分かってることなだけなんだろう
「そうか」
そんな、何ともない答えに彼女は満足そうに頷き足を止める
ちょうど、通学路最後の信号で
僕の方に体を向けて
「私の名前は彩梨 色詩」
右手を差し出し
「私と一緒にいてくれないか」
柔らかく微笑みながらそう言った
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