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「その場で太田と大ゲンカになって…相手の女性が出て行って…別れたいって言った私を…」
プルプルと震え出した倉田は、慌てながらイチゴチョコを口に含む。
それを見ていた柏木が、倉田の背中をポンポンと叩いてから俺を見つめて話し始めた。
「別れたいって言った美穂を…太田は暴力を使って強引に…。
それが原因で…美穂は太田だけじゃなく男の人に触れられると、過呼吸を起してしまうようになりました。
なのにあの太田って男は…俺は美穂と別れたつもりはないって言い張って…美穂に係わる人を陥れて全てを奪って行くようになりました。
美穂から全てを奪って追い詰めれば自分の所に戻って来るって思ってるみたいで…私が前の会社を辞めたのも…全て太田の仕組んだ罠でした」
イチゴチョコをいつもみたいな笑顔になる事もなく、ただ黙々と食べ続ける倉田を見つめながらようやく俺はそれに気付いた。
コイツにとってのイチゴチョコは…自分を落ち着かせるための安定剤だったんだ…。
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