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槙田との電話を切ってから俺はビールも空けずにじっと考えていた。
太田の大切なもの…
それは間違いなく倉田の事だろう。
だけど倉田はまだ…と言うか、俺が勝手に片思いしてるだけで俺の思いを受け入れてくれたワケじゃない。
俺の中に広がり続けていた疑問はもう我慢の限界を迎えていた。
このままだと、取り返しのつかない事になるかもしれない。
「明日…倉田に直接聞いてみるしかなさそーだな…。」
全く頭に入って来ないニュース番組を見つめながらひとり呟いた。
柏木が言ったように、倉田が俺に心を開いてくれるかどうか…はあまり自信がないけど…。
結局ついに空けることなく、すっかり缶に水滴が滴るビールを俺はそのまま冷蔵庫に戻してベッドに潜り込む。
何度寝返りを打っても寝付けない夜が更けて行った…。
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