言えない、よ。

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ーーーーーーーーー ーー・・・ 「ん?ここ」 「降りろ」 「え、だってここ……」 「降りろ」 いや、降りるけど。 ここって…… 「チャペル……」 「こっちだ」 待って待って、どういうこと? 「新婦様、こちらへどうぞ」 受付を済ませた蒼くんと共に、係りの人に続く。 控え室にあったもの。それはーー・・・ 「ウェディングドレス……」 純白に輝くそれは、私の夢見たもの。 「あ、蒼くん、これ、」 「あ?お前が言ったんだろ。着てみたいって」 言った? 言ったかも。 でもそれ、龍華の倉庫じゃない? るりちゃんと雑誌見てたとき、とか。 あれ、1年以上前だよ? ずっと、覚えててくれたの? 「6ヶ月の時には間に合わなかった。だから今日」 「っく、うん、うれし」 「泣くな阿呆」 「ふぇ、」 だって、だってさ? ずっと、準備してくれたんでしょう? 私が知らない間に。 もしかして、最近帰りが遅かったのもこれのせいなのかもしれない。 なのに私は浮気を疑って。 バカじゃん私。 蒼くんは『全部飲み込んでやる』って言ってくれたのに。 私は信じてるだけで良かったのに。
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