砂時計はかえされた。

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ーーーーーーーーーーーーーー ーー・・・ 「遅くなっちゃったな……」 空には薄雲がかかり、ぼんやりと月の明かりが見える程度。 自分の家の周りを探検して。 デパート行ってみたりしてたら遅くなっちゃった。 それでも繁華街は明るい。 時々声をかけられるけど、しばらく話をするとため息をついて離れていく。 その繰り返し。 友達になりたいのかな? そのままマンションへと向かっていると。 途中の路地から物音がする。 引き寄せられるようにその路地へと近づく。 「っ」 「おいおい、銀狼ってこんなもんかよ」 「俺たちにトップ譲れや」 鈍い音。 骨と骨とがぶつかる音。 周りの人たちは気づかないふりをしてそこを通り抜ける。 やっぱり大人は汚い。 偽善者だ。 「……アホが」 壁に寄っ掛かってようやく立っているような、銀髪の男。 怪我でボロボロなのに。 ……美しい、そう思った。 「っ、負けてるくせにほざいてんじゃねーよ!」 ーー・・・ダメ。 ダメだよ。 銀髪の男に襲いかかる男たち。 10人はくだらない。 目の前の光景に。 気付けば体が動いていた。
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