砂時計はかえされた。

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「お、まえ」 銀髪の男の目が開かれる。 「くそ、邪魔すんじゃねーよ!」 「っ」 うそ、痛い…… 陽太くんのチョップなんか比じゃない。 ドサッと、銀髪の男の上に覆い被さる。 どうやら殴られたみたい。 意外に冷静な自分にビックリだ。 「やっちまおーぜ、こんなチャンス滅多にねーんだ。 さっさと銀狼を潰そう」 その声で、ますます周りの声がうるさくなる。 潰す? そんなの、私が許さない。 朦朧とする意識の中。 銀髪男の体を抱き締める。 「おいアマ!銀狼を寄越せや!」 一発、また一発と蹴りやら何やらが入れられる。 一応私女なんだけど。 手加減なしみたい。 「女、離せ」 銀髪頭の声。 耳に心地よい。 「ダメ、怪我してるのに放ってはおけない」 私が痛いのは別に構わない。 でも、目の前で誰かが傷つくのは嫌なの。 もう見たくないから。
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