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一週間後の水曜日。 友達とも彼氏とも何の約束も無く、ただごろごろ家で過ごした。 午後七時。 何故か薄く化粧をしている自分がいる。 ガチャ。 バタン。 テレビを消していたため、隣の家の物音がはっきり聞こえる。 ……帰って来たんだ。 別に先週の時峰の 「夜あけててね。」 を真に受けているわけではない。 ただ、偶然予定も無く、ただなんとなく化粧して、ただたまたまテレビがうるさくなっただけだ。 「……。」 時峰。 また先週みたいにノックするのかな? 変な緊張が私をソワソワさせる。 冷蔵庫へ飲み物を取りに行ったり、棚を片付けたりしながら、何度も玄関をチラ見する。 20分ほど経った。 ノックの音もインターホンの音も何もしない。 ――ふーん、大人をからかったってわけか。 変に期待した自分が馬鹿だった。 期待? いや、訂正。 真に受けそうになったのが馬鹿だったということ。 ガチャ。 ふいに、隣の家の玄関のドアが開く音が聞こえた。 カツ、カツ、カツ。 鍵を閉める音の後、すぐに足音が聞こえた。 一瞬、こちらの玄関の方へ向かってくるかと思ったが、足音はエレベーターの方へ遠ざかっていった。 は? 出かけるの? 時峰。
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