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外に出るのが億劫になったので、時峰の家の冷蔵庫にあるもので適当に料理を作った。 「やっぱ、授業してるセンセ、かっこいいね」 「は?」 食べながら、急に時峰が言う。 「見てた。 この前鍵返してもらいに行った時。 外からちらっとだけど」 「あ、あぁ……。 すぐ帰らなかったんだ」 恥ずかしい。 「うん。 この前愚痴ってた高山って奴も、多分あれかなーって分かったよ」 「えっ、ウソ?」 「あれでしょ? あの小太りメガネでしょ?」 「そう……。 よく分かったわね」 「センセの話聞いてたら分かるよ」 ちょっと嬉しい気持ちになった。 どの人か分かるくらい、ちゃんと私の話を聞いてくれているということに。
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