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『鍵、郵便受けに入れといて』 朝10時。 いつもと違う部屋。 いつもと違うベッド横の棚。 の上の紙切れと鍵。 「懐かしい字。 そういや達筆だったわ。 昔から」 ボサボサの髪を掻きながら、ふっと笑う。 「くしゅっ」 ああ……、私、裸だ。 首をぐるっと動かし自分の体を見回す。 あんだけ体中にキスをするくせに、キスマーク1つ残さない……。 さすが……。 二日酔いでぼーっとした頭で、ぼんやりそう思う。 「よいしょ」 ベッドから立ち上がり、服を着る。 頭はボサボサだけど……、いいや、隣だし。 「……」 午前中の明るいうちにこの部屋にいるのは初めて。 きれいに片付いた部屋。 冷蔵庫とか、押入れとか、ちょっとだけ見たくなったけど、そこまで立ち入ることに違和感を感じて、私は小さな好奇心をしまった。
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