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「……」 立ちすくみながら、閉じた802号室の玄関扉を外から眺める。 つい先日は普通に開けた扉。 今は、何かバリアのような不思議な力が、この扉を固く重く閉ざしているかのようだ。 カチャリ。 私はその後、無言で静かに自分の803号室の鍵を開け、誰もいない真っ暗な我が家へ入った。 「……」 可愛い人だった。 この前時峰が言っていた片想いの人かな。 ……まあ、そんなことどうでもいいんだけど。 カ……タン。 片眉を上げる。 隣から聞こえてくる物音に過敏に反応する。 「……はは」 何やってんだか。 私。
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