4606人が本棚に入れています
本棚に追加
「……」
立ちすくみながら、閉じた802号室の玄関扉を外から眺める。
つい先日は普通に開けた扉。
今は、何かバリアのような不思議な力が、この扉を固く重く閉ざしているかのようだ。
カチャリ。
私はその後、無言で静かに自分の803号室の鍵を開け、誰もいない真っ暗な我が家へ入った。
「……」
可愛い人だった。
この前時峰が言っていた片想いの人かな。
……まあ、そんなことどうでもいいんだけど。
カ……タン。
片眉を上げる。
隣から聞こえてくる物音に過敏に反応する。
「……はは」
何やってんだか。
私。
最初のコメントを投稿しよう!