12/17
前へ
/40ページ
次へ
「起きてたんだ。 もう1時前だよ」 水曜日以外に顔を見る時峰は、なんだか他人みたいだ。 暗がりの中で下ろした前髪が風になびき、男なのに妙に艶っぽい。 「センセに会いたくて」 にっと不敵な笑みを浮かべる。 無意識に心臓が跳ねる。 「明日会えないから」 すぐに続いた時峰の言葉の意外さに、 「えっ、何で?」 思いの外、大きな声で聞き返した。 「会社の接待」 時峰は手すりに頬杖をついて、夜景を見ながらそう言った。 ……そっか、明日会えないのか。 なんだ。 ふーん……。 「がっかり? 俺の体お預けくらって」 「何でよ!」 そう言いつつも、ああ、これはがっかりって感情だわ、と認識する。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4604人が本棚に入れています
本棚に追加