4604人が本棚に入れています
本棚に追加
「起きてたんだ。
もう1時前だよ」
水曜日以外に顔を見る時峰は、なんだか他人みたいだ。
暗がりの中で下ろした前髪が風になびき、男なのに妙に艶っぽい。
「センセに会いたくて」
にっと不敵な笑みを浮かべる。
無意識に心臓が跳ねる。
「明日会えないから」
すぐに続いた時峰の言葉の意外さに、
「えっ、何で?」
思いの外、大きな声で聞き返した。
「会社の接待」
時峰は手すりに頬杖をついて、夜景を見ながらそう言った。
……そっか、明日会えないのか。
なんだ。
ふーん……。
「がっかり?
俺の体お預けくらって」
「何でよ!」
そう言いつつも、ああ、これはがっかりって感情だわ、と認識する。
最初のコメントを投稿しよう!