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「……」
はは、と口だけ別の生き物みたいに笑った。
心は違った。
今の一言で予想外の衝撃を受けた。
「おやすみ、センセ。
じゃ、来週の水曜日ね」
ちょうど吸い終えた煙草を携帯灰皿に入れ、時峰はバイバイと手を振って部屋に入った。
クラっとする。
――私が時峰に本気になったら金輪際会わない。
ってこと?
何だそれ。
「はは……、バカじゃない?」
小声でつっこみ、カラカラと、自分も窓を閉めた。
そんな……、本気になるほど私もバカじゃないわよ。
時峰に対して思っているのか、自分に対して言い聞かせているのか。
シャッ、シャー。
カーテンを閉める。
何を、こんなにもブルーになっているんだ、私は。
こんな気持ちになる資格なんてない。
私には圭太がいるんだから。
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