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玄関に向かう圭太を見て、私もゆっくり立ち上がった。
キシ……。
玄関で靴を履いている圭太を後ろからそっと抱き締める。
「……ごめん」
私の回した手を両手でゆっくり解いて、圭太は振り返る。
「こっちのセリフ。
俺も自分優先で悪かったと思ってる」
圭太は私の大好きだった笑顔でそう言うと、ドアノブを回した。
「それじゃ……」
ガチャ……。
手を上げて外へ一歩踏み出た圭太を、ちゃんと見送ろうと私もサンダルを履く。
何も言えずに、ただ手だけ振った。
私に背を向けて離れていく圭太を見ながら。
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