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『もしホントに俺のこと好きになったら言ってね、センセ』
『そうなったら金輪際会わないから』
昨日の夜、時峰にベランダで言われた言葉が何度もリフレインする。
念を押された次の日に自覚。
そしてその時点で玉砕。
加えて、彼氏とも破局。
はは。
何?
このシナリオ。
自覚したくなかった。
時峰に惹かれているということ。
自覚した途端に、アウトだって分かっていたから。
この想いは、伝えたところで絶対に実らない。
暗黙の了解の大人の関係。
ズズズ……、と玄関廊下の壁を擦りながら尻をつく。
隣の部屋にいながら、とてつもなく遠い時峰のことを考える。
「悪い男と関わったもんだわ」
ボソッとつぶやき、伝う涙もそのままに力無く微笑った。
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