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ソファーの前で体育座りしていた私は、バッと体を起こし、玄関へ急いだ。 途中、急いでいることを悟られたくなくて足音を潜めたけれど。 自分が嫌になる。 こんな状況下、会えることに対して喜んでいる自分が。 コン、コン。 催促の音。 ……ガチャ。 私はゆっくり玄関扉を開ける。 「どーも」 奥二重の目が絡め取るみたいに私を捕える。 顔を少し傾け、上から覗き込む時峰。 いつものあの笑顔で私に外から影を作った。 「……どーも」 急に恥ずかしくなり目を逸らし、辛うじてそう言う。
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