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お互い立ったまま抱き合い、ユラユラ揺れる。
まるでスロウダンスでもしているみたいだ。
流れるようにいつもの寝室へと導かれ、いつの間にかベッドと背中が重なっている。
シュルッ……。
上に乗る時峰が、私を見下ろしながらネクタイを解く。
ゆっくりシャツのボタンやカフス、時計を外していく。
はだけたシャツ。
廊下から漏れる明かりに、時峰の骨格や締まった筋肉、目のくぼみや鼻が影を作るのが見える。
「今日もいい声聞かせてね、センセ」
片腕をベッドにつき、片手で私の前髪を掻き上げた。
艶めかしく、でもあどけなさを残す笑顔。
私はどこまで堕ちていくのだろう。
この男に。
この報われない関係に。
そう思いながら、時峰の首に手を回した。
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