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「ハラ……へったー」 一日中動かなくても、三大欲は容赦ない。 のそりと体を起こし、冷蔵庫を開ける。 「うあー、何もない」 ピンポーン。 ビクッとした。 冷蔵庫を開けたまま、玄関を凝視する。 時峰? 今日は接待じゃなかったの? ……いや。 時峰はインターホンなんか使わない。 いつもそのままノックだ。 「……」 オートロックじゃないので、そろりそろりと玄関の覗き穴を覗く。 「圭太」 軽く手ぐしで髪を整え、家着のまま鍵を開ける。 「よ。 今日早く終わったし、うちのデパートでやってる物産展の弁当の余り持ってきた。 水曜だから、おまえ家にいると思って」 白いビニール袋を顔の前に持ち上げ、にこっと笑う圭太。
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