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ひっく、ひっくと嗚咽が止まらない。
「うぅ……、っく、ひぐっ」
ズズッ。
鼻水も出てきてもうボロボロ。
「う……」
……時峰のキスに舞い上がったりしてたから、バチが当たったんだ。
「可愛くない泣き声」
時峰という名詞が頭に浮かんだ途端、その顔が横のベランダからひょこっと覗いた。
「お疲れ、センセ。
今日は早いね」
煙草を持つ手でヒラヒラと手を振る時峰。
顔半分と手だけが、隔てた壁の向こうの夜空に浮いて見える。
「う……あ」
泣き過ぎていて顔が歪んだまま元に戻らない。
「ふ。
泣き過ぎだし。
おいで。
こっち」
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