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息一つ乱さない彼に対し、もう吐息しか出てこない私。 暗闇の中、対照的な2人が不定期なリズムで揺れる。 今日の時峰は口数が多く、触れ方も私の反応を楽しむように乱暴と丁寧を使い分ける。 自暴自棄、という言葉が彼の言動を包む。 慰めよう、なんておこがましいこと思わない。 昨日の失敗と失態を忘れたい、とも既に思わない。 ただ、時峰と触れ合っていたい。 ただ、時峰とリンクしていたい。 ただ、時峰でいっぱいになりたい。 水曜日だけでいい。 わがままは言わない。 この関係が水の流れと同じ無常のものだとしても、今はただ、その流れをせき止めていたい。 そう強く願った。  
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