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「重て……」
ぼそっと言いながら、そのまま寝室へと運ばれる。
真っ暗なのにぶつからずによく歩けたものだ。
バフッ。
いつものでっかいベッドに投げられる。
酔いが回っていることも手伝って、頭がグラングランする。
見えないはずの視界がぐにゃりと曲がる。
バサッ。
時峰がコートと背広を同時に脱ぎ捨てる音。
カチャカチャ。
ベルトをゆるめる音。
ギシッ。
私に近付く音。
……。
私の髪を撫でる音。
「……っ」
何故か分からないが、急に涙が出そうになった。
私を撫でる手がさっきとはうって変わってあまりにも優しかったから。
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