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「聞いてるんだから答えて、センセ」 湿った声に笑いを含めながら私の口にまた指を入れ、ディープキスみたいに舌をかき回す。 熱っぽい時峰の目。 上から射るように私を眺める。 何を想い、誰を想って彼は私を抱くんだろうか。 少し目は慣れたが、それでも暗い部屋の中。 彼の目にはちゃんと私が映っているのだろうか。 次第に意識が朦朧としてき出す。 何も考えられなくなる。 今日観覧車から見た夜景の色とりどりの光の残像が、脳裏で目まぐるしく揺れる。 「センセ……」 右から左へ、左から上へ。 「もっと出して、声」 消えては光り、光っては裂け。
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