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「泉、隣の家って言ったけど、時峰って男は802号室?」 エレベーターが閉まり密室になるや否や、美波が怖い顔で聞く。 ギクリとした。 「や。 いや、違うわよ。 反対の方の隣。 804……は、4だから無いんだった。 805! 805号室」 変に狼狽したが、咄嗟に嘘をつく。 美波に余計な詮索をされたくない。 何より心配をかけたくない。 美波は疑いの目で私を見ていたが、エレベーターが1階に着くと、 「なら、いいや」 と言った。 よくわからないがホッした。 「そういえば、さっきの女の人、泉の声にそっくりで驚いたわ」 ――え?
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