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エレベーターのドアが開き、美波は降りる。 「ここでいいよ。 今日はありがと。 それじゃあね」 バイバイ、と赤ちゃんを抱える反対の手を振る美波。 そのままチーン、とエレベーターのドアが閉まった。 放心状態になりながらも、慌てて階数ボタンの8を押す。 押して初めて気付いたが、私の手は震えていた。 あれ? 今、考えるべきは何? 今日が水曜日ってこと? 時峰が会議で、私の家に来るのが遅れるってこと? カタカタと歯の噛み合わない音が耳に響き出す。
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