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……違う。 今、考えるべきは……。 あの女の人が、ユキって人が、時峰の部屋の前にいるってことだ。 ――な、んで……? なんで今更っ。 チーン。 8階に着いた。 重い足を引きずるように運び、角を曲がり、各部屋の玄関扉が並ぶ通路が視界に広がる。 「……」 息を飲む。 ああ……。 やっぱり。 いた。 まだ……、いた。 ザッ、ザッ。 私の格好はパーカーにジーパン。 髪は一つに束ねて、化粧もファンデとアイブロウだけ。 極めつけにサンダル。 綺麗な身なりの彼女と見比べる。 すごく、惨めな気持ちに、なる。
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