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さっきと反対方向から彼女の横を通り、自分の家の玄関前まで来る。
彼女は、私が向かってくる間にチラリと1回私を見ただけ。
そして、時峰の家のインターホンを少し長めに押したのが目に入った。
もしかしたら、私が美波を見送っている間に何回か押していたのかもしれない。
頭の中に、そんな映像が勝手に映った。
「あの……」
気付けば、声をかけていた。
私の方が。
「……はい」
話しかけられたことに少し驚いた顔で、彼女は隣の部屋のドアノブに手をかける私を見た。
「時峰君……、今日、会議で、帰りは深夜になるそうです……」
声が少し上擦った。
私は何を口走っているのか。
しかも帰りが深夜になるという大げさな脚色まで加えて。
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