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「……あ」 ハラハラハラと、急に涙が突風で舞い散る落ち葉のように流れた。 時峰のスケッチブックが風でパラパラとめくられていくように、頭の中で時峰の絵と先程の彼女の顔がコマ送りに浮かぶ。 なんでいるの? 他の人と結婚したんじゃないの? 連絡も絶ったんじゃないの? なんで? なんで? なんでいるの? 疑問と、言いようのない不安で私の脳は許容量を超える。 ただ顔を見に来ただけ? あんなにあなたのせいで傷付いていた時峰に、ただ、会いに来ただけ?
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