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よかった。 いつも通りだ。 私も『いつも通り』がやれている。 「あれ? なんか綺麗。 今日のセンセ」 「え?」 「化粧ちゃんとしてる。 いつも手抜きなのに。 観覧車は来週だよ?」 「わっ、分かってるし!」 時峰はハハッと笑い、また強く私を抱き締め、頭のてっぺんにキスをした。 ……帰ったんだ。 あの人……。 時峰とは、……会ってないんだ。 すー…っと、胸の中に積もっていた砂が風でどこかへ舞って消えていった感じがした。 角っこに、まだ若干残っているのは感じるが。
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