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「……」 全くもって現実味がない。 いや、あっちは現実だけど、こっちが現実じゃなかった? つい先ほどまでの時峰との時間は、 ……いや、出会ってから今の今まで。 ……そっか、現実じゃなかったんだ。 現実じゃ、……なかっ、……た。 やっと、夢から、……覚めた。 バタン。 私は恐ろしくスロウなペースで、既に閉まった玄関のドアを開け、玄関に入り、そして、閉めた。 ついでにしっかり鍵もかけた。 「片付けなきゃ……」 リビングへのろのろと向かい、鍋と皿を片づけ始める。 半分くらい具材が残っていたが、全部捨てた。 カチャ、カチャ、と、今日はやけに耳に響く皿の音。
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