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ユキは実家を家出して俺のところへ来た。 その歳で家出って……、て感じだけれど、ユキの家柄は厳しくて婚約者まで事務的に決められるような家だから、その窮屈さは想像するに易い。 結婚式を今月6月に控えていたらしいが、それも白紙になった。 逃げた花嫁。 ユキは家にも相手の男にも泥を塗る形で、身一つで俺のところへ逃げてきた。 すぐにイタリアへ行こうという話になり、俺は未練なく会社を辞め、引っ越しの準備をした。 今考えると、ユキと再会できたという熱に侵されて、冷静な判断が出来なくなっていたのかもしれない。 そのくらい、俺にとってユキは唯一無二の存在だった。
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