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2年前、ユキと初めて会った。 うちの会社の社長とユキの父親が知り合いということで、もともと同じ会社の他の支社で働いていたが、異動でうちの支社に来た。 社員の前で挨拶するユキ。 一目惚れだった。 歳とか、家とか関係なく、ただ、ただ、子供のように、この人が欲しいと思った。 建築家の父親の厳しい指導もあってか、仕事は男以上に出来る女で、図面を描かせたら俺よりも上手かった。 入ってきて1ヶ月くらいで、食事に誘った。 その時に婚約者のことを聞かされた。 ショックはあっても、そんなことどうでもいいくらい、既にのめり込んでいた。 部屋に寄るかと聞いたら、頷いたユキ。 そこからはもう、坂道を転がる球体のように、急速に、歪みこそすれ鮮やかに堕ちていった。
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