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「時峰君。 何、ぼーっとしてるの?」 ユキの声ではっとする。 コーヒーを片手に持ちながら、しばらく静止していたみたいだ。 「や。 何も」 カチャ。 コーヒーを戻す。 「何? 日本が恋しくなった?」 「そんな訳ないじゃん」 「そう。 それならよかった」 ユキがテーブルに体を乗り出して、軽くキスをする。 「ユキは悪い女だなーって思い返してた」 「ひどい。 日本を捨ててまで、家を捨ててまで時峰君との生活を選んだのに」 ハハッと笑って、ごめん、と言った。 「……行ってくるね、仕事」 「いってらっしゃい」
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