18

2/12
前へ
/40ページ
次へ
「ゆく河の流れは絶えずして……」 古文の授業は退屈だ。 それに加えて、綾川先生の緩やかに流れる川のように透明な声が、俺を眠りに誘う。 「それじゃ、……時峰君。 答えて」 ピク……。 「……は、い」 寝惚け顔を上げる。 黒板の前に立っている綾川先生が、テキストを片手に俺を見ている。 やべ。 聞いてなかった、質問。 「この随筆の筆者は?」 ……ああ。 「鴨長明」 ハッと目が覚めた。 「おはよ。 時峰君」 カタン。 テーブルに皿を置く音。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3355人が本棚に入れています
本棚に追加